日本のトップドライバー育成を目指す
経営ビジョンを体現する人事制度への挑戦。

エスエーグループ様

エスエーグループ

大阪市港区南港に本社を置き、関西関東に拠点を構え全国をカバーする運送業グループ。創業社長である父親より29歳で事業承継し、エリアや取り扱い品目の違う事業形態で計6社・100名の従業員を束ねる。

提供ソリューション

  • 人事コンサルティング

    2024年問題(労働時間上限規制)に対応する、戦略的報酬・評価制度の設計
    “86万人の頂点に立つ”トップドライバー育成に向けた組織開発支援

導入の背景

  • 2024年問題への強い危機感
    残業時間の上限規制により、従来の「たくさん走って稼ぐ」働き方ではドライバーの給与が下がってしまうという焦りがあった。          
  • 現場と経営の感覚のズレ
    「とにかく走って稼ぎたい」という現場の職人気質と、会社が求める「評価されて稼ぐ」という感覚の間に大きなギャップがあった。

導入の決め手

  • 給与を守るための戦略的設計
    法改正で労働時間が減っても社員の給与水準を下げないための仕組みとして、新たな人事・評価制度を導入する伴走サポートがあった。
  • 経営ビジョンからの落とし込み
    単なる査定の仕組みではなく、「86万人のトップドライバーを育成する」という自社のビジョンをそのまま体現する制度設計だった。

導入の効果

  • ビジネススキルを備えた人材育成
    運転スキルだけでなく、論理的思考力や後進を育てる力を持ったトップクラスのドライバーを育成する体制づくりが本格的に動き出した。
  • 制度をきっかけとした組織力の底上げ
    制度があることで、社員が自分を客観視する力やコミュニケーション力を養うなど、組織全体の成長につながる良い変化が生まれている。

Interview

エスエーグループ
代表 坂中亮善様
統括マネージャー 大坪司朗様

御堂筋税理士法人
代表税理士/税理士・コンサルタント 才木正之
税務チーム マネージャー 村尾治道

事業承継と会社の立て直しから、
利益思考という文化が育まれる。

はじめに、御堂筋税理士法人との出会いを教えていただけますか?

社長: 私が会社を事業承継したのがリーマンショックのタイミングでした。それまでは父親が会社を拡大してきたのですが、様々な要因で限界点が来ていました。もともとは会社を継ぐことには積極的ではなかったのですが、会社の存続を第一に考えた時に、事業承継しなければということで29歳のときに社長に就任しました。

村尾: リーマンショックが2008年に起きて、御堂筋税理士法人とは2016年にお付き合いのスタートとなりました。

社長: そうですね。自分なりにいろいろ勉強はしていましたが、パートナーらしいパートナーもおらず、どうやって会社のメンバーを巻き込みながら、考えを浸透させたり、業績を改善させたらいいのだろうと悩んでいた時期でした。そういった状況の中で生命保険会社の部長がいて、決算書や財務の側面から見たアドバイスが得意な方でした。その方が見ても当時の会社の状況というのは、決していいものではなく、課題が山積みだったんです。正直お手上げという感じだったのかもしれませんが(笑)、その方から「いい人がいますよ」ということで、才木先生を紹介いただきました。

才木: まず最初に行なった具体的なアクションは、幹部の方々との面談でしたね。

社長: すぐになにかやろうとか、契約しようとかではなく、「まず幹部と面談させてほしい」と。

才木: それぞれ面談させていただいた印象は、まず一つはやれていないこと、やっていないことがたくさんあって伸びしろが多くあった。もう一つは、幹部の皆さんが各々考えや姿勢に違いはあっても「会社への愛」を感じたということですね。

部長: 確かに、いろんな方がいらっしゃって、基準や資料もばらばらという環境ではありましたが、そんな中でもたくさん助けていただいたと感謝していることがたくさんあります。

現在は人事制度構築とその導入というフェーズに取り組んでいますが、
そこに至るまではどのような流れがありましたか?

社長: そういった面談などを通して会社を理解するところからはじめてもらい、最初は税務ではなく、利益改善の分析からスタートしました。

才木: トラック1台あたりで、どれくらいの粗利が出ているのか。1台ごとに出している粗利にも差があり、稼働率も細かく切り分けて分析していくことで、最終的な業績改善につながるという流れを提案しましたね。

社長: 最初は赤字の部署から分析をはじめて、みんなを巻き込みながら進めていくと、ものすごく成果が上がりました。戦略の立て方・分析・お客様との商談を私がやるのではなくて幹部が中心になって成果を生み出せたことが、社内全体にいい影響を与えたなと感じています。

才木: 実際に成果がでるまでには2年かかりましたね。自分たちの社内的な改善作業だけでなく、お客様への値上
げ交渉にも踏み切りました。

社長: 値上げをお願いするための資料をつくって、お客様のところに持っていきましたが、資料は実際に交渉をしにいくメンバーがつくり、しっかり準備をして臨めたので「そこまでエビデンスを突きつけられたら、仕方ないな」とお客様の納得を得ることができました。

利益改善の分析からスタートして、全体の業績・会社にはどのような変化がありましたか?

部長: 私が値上げ交渉を行なっていたタイミングで統括マネージャーの打診をうけて就任することになりました。私自身がドライバー出身で、現場の状況をよく知っているからこそ、求められることの難しさが想像できる、だけどやっていかなきゃいけないと会議のときはいつも緊張感がありましたね。才木先生も「お客様だから」というような甘さはなく、厳しく、はっきりと指摘や助言をしてくださるので。

才木: それから、みんなで大きな目標売上を目指そうということでひとつになって、実際に達成できたことは、大きな出来事でしたね。

社長: ミリオンゲットミーティングですね。目標達成で幹部メンバーにはボーナスを支給すると約束してしまいました。(笑)2020年の3月決算時に達成となりましたが、体調を崩すくらいプレッシャーがありましたね。

部長: 本当に感動しました。みんなたぶん体調崩してましたよ。(笑)その前からの利益改善の分析から、こういった目標達成をしていくぞという期間を通して、粗利・原価の視点、やった分だけ自分たちにも返ってくるんだと、そういった感覚・文化がつくられていったと思います。

村尾: ボーナス支給は社長からひとりひとりに手渡しされたんですよね。我々も本当に達成できた!という感動がありましたね。 

ターニングポイントとなった業績達成が2020年の3月。
新型コロナウイルスの蔓延がはじまり緊急事態宣言の最中でした。
翌年からの影響はどうでしたか?

社長: 1億円の利益目標達成は、オリンピック需要も重なってという追い風もありましたが、緊急事態宣言となってからは、2日間丸々稼働がない日があったりと状況としてはガラッと変わりました。ただ、その稼働がない時間を無駄にせず、価値観共有の研修を行なったり、みんなで新しい活動に繋げるという成果も得ることができました。

部長: トータルでいうと2割の売り上げ減。それでも粗利思考という文化ができてきたおかげで、実はそれほど利益は下がらなかったんです。厳しい状況であったことは間違いありませんが、それも大きな成果だったと思いますね。

社長: だから従業員への給与もきちんと支払うことができて、その分「従来の仕事だけやればいい」という感覚を捨てて、お客様のためになることはどんどんやっていこうと。それこそ草むしりレベルでもやろう!という気持ちをもって様々な角度からお客様に喜んでいただけました。

部長: 新しいことに取り組むぞという気概が生まれたおかげで、既存のお客様からニーズを拾い上げて、新しいサービスをゼロから組み立てることができました。それが今、実際に現在の売上にも貢献している介護施設におむつを小口配送するというもの。世の中に絶対に必要だけど、ちゃんとやれる会社は多くないですよ。

社長: アプリを有効活用して、配送の環境や注意点などのナレッジをだれもが見られる、それこそ配送になれていない新人や力のない女性でも活躍できるような仕組みづくりができましたね。これは他社にも簡単には真似できない実績だと思います。

2024年問題の先にある戦略設計と、経営ビジョン達成の一手、
人事・評価制度の導入。

社長: これから会社の舵取りをしていく中で、重要なポイントがふたつあります。一つ目は2024年に働き方改革の一部としてドライバーの労働時間に制限が入ります。

部長: 運送ドライバーというのは、本来は会社の業績どうこうよりも、自分がいかにたくさん走って、たくさん働くことで稼げるという歩合的な思考がほとんどなんですよ。それが法律上、稼働していい時間に天井ができて、稼げるお金が減ってしまうという状況が目の前に来ています。正直、そういった状況に危機感を持っていない従業員も多くいるなと感じています。

社長: 従来の歩合要素で給与を考えていくと、自ずと給与が下がってしまう。新しい制度・環境になって、売上が下がったとしても給料が下がらないようにしなければいけない。そういう戦略設計が今求められています。

部長: そのために人事制度を構築して、評価をする仕組みを取り入れました。こちらは村尾さんにサポートいただきながら、本来は2020年からの導入を目指していたのですが、コロナの影響などもあり、少し後ろ倒しでスタートしています。

才木: 運送会社で人事制度を導入するというのはなかなか珍しいことだと思います。そこには強い理念や思想がありますよね。

社長: それに関連することですが、二つ目のポイントは、そういった制度を通して86万人いると言われるトラックドライバーの頂点に立つような人材育成を目指すということです。私たちの経営ビジョンにもある、「私達は人づくりで選ばれ続ける会社になる」を体現することが目標です。

才木: 86万人のトップを育成するという流れの中で、「特務隊」の設置もエスエーグループならではの仕組みですね。いわゆる多能工的に、いろいろな種類のトラックに乗れて、受注の柔軟性や稼働率アップによって、収益モデルに大きな影響が期待できます。

部長: そうですね、そういったドライバーとしての技術面ももちろん大切です。ただ、私が思うトップクラスのドライバーというのは、道徳面であったり、1台あたりや仕事あたりの利益感覚や配車のノウハウ、そして経営的な思考や人を育てる力など、もっと仕事を俯瞰で見る力を身に付けさせてあげたいという想いが大きいですね。

社長: 86万人のトップドライバーとはどんな人間なのか?ということは、世の中に定義があるわけではありません。それをひとつずつ考えを突き詰めて言語化していくことができれば、それ自体が差別化要因になるはずなんです。

部長: ドライバー出身の私がこうやって、経営やマネジメントに参画している今が47歳。それをもっと早く、30歳くらいで同じレベルに達することができるような環境をつくりたいんです。トラックドライバーも学歴は様々なので、極端な例ですがビジネス文章の読み書きレベルから寄り添って育てるということにもトライしています。

業界の未来と自社の想い・ビジョン達成に向けての人事・評価制度の導入となりましたが、
導入して現状はいかがでしょうか?

部長: 率直に言って課題は山積み。私もドライバー出身なので、当人たちの気持ちもわかりますが、そもそも歩合要素の強いドライバーを仕事に選ぶということと、会社から評価される、チームで働くという感覚には距離があって、人事評価制度というものに明らかに抵抗感を示す社員もいるのが事実です。

社長: 課題がたくさんあることは仕方ないですよね。逆にいうと課題が出ないようなことは長続きしないというか、後に残っていかないと思うんです。今ある課題を乗り越えて、修正を繰り返して根付かせていくというチャレンジが必要です。

村尾: エスエーグループは理念や目指したいことがはっきりしていますし、そこから筋道を通しながら制度を設計してきているので、現場からの抵抗感や問題が出てもそれはそれで会社の意思表示になると思って組み立ててきました。

社長: そうなんです。納得いかないからダメとか、社員の良い悪いを評価することは本質的な目的ではないんです。制度があることがきっかけで、社員自身が2024年問題について考える力や自分を客観的に評価する視点を身に付けたり、幹部が面談のコミュニケーション能力を養ったり、そういったことが他社との微差になる。この微差が将来大きな差になってくるということが、私が最も大事にしたい考え方ですね。

才木: これから問題を解決して、またエスエーグループが成長してより一層儲かる会社になっていくことが楽しみですね。

AFTER TALK

御堂筋税理士法人とは?

社長:提供するサービスの価値を追求していて、それが我々お客さんにもちゃんと伝わっているということが、一番見習っているところです。
会計以外のところでもたくさん相談していて、トータルパッケージでこれからもよろしくお願いしますというところです。

部長:まずはお金のプロだなと。本当にいろいろなことを教えていただいていると思います。
そのうえで、外部の方だからこそできる厳しさというか、いい意味で遠慮なく意見をくれるということは、みんな本来求めていることだと思うんですよね。
それがありがたいなと思っています。

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